日本酒の雑学 ・「洗米」「浸漬」はとてもデリケートな作業

2019.08.09

「洗米」とは「精米されたお米を洗うこと」
精米の過程で表面に付いた
糠(ぬか)や米くずを徹底的に除去します。
「洗米」の工程の前に
「枯らし」という工程を行う必要があります。
精米工程で磨き上げられたお米には
摩擦によって熱が溜まっていて
内側の水分量が急激に失われているという
状態になっています。
そのまま精米を水に漬けてしまうと
お米がひび割れたり
洗米、浸漬工程の時に
精米の水分の吸収率にムラが出てしまいます。
ですから
精米後は暗くて涼しい場所で
2週間から3週間ほど寝かせる
「枯らし」という工程が必要不可欠なのです。
 
「洗米」の工程では
精米が 外側の表皮の大部分が
磨き落とされているために
非常に割れやすい状態となっています。
また
精米が余分な水分を吸収してベタつかないように
優しく丁寧かつ迅速に洗米する必要があります。

普通酒を造る精米は
機械で一度に大量に洗米されます。
高級酒を造る精米は
手作業で 約10kg位ずつ
5℃ 前後の冷水で
流れる水圧を利用して少しずつ洗われます。
洗っている間にも
お米は水分を吸収しはじめていますので
「第二の精米作業」と言われるほど
細心の注意が必要な工程です。
こうして洗われて
精米は「浸漬」の工程へ回されます。
 
「浸漬(しんせき)」とは
「洗った精米を水に浸けて吸水させること」
浸漬は 後で蒸しあがったお米が
ムラができないように 完全に
α化(米のデンプンが糊化(こか))するように
お米の粒全般、中心まで
水分を行き渡らせるための工程です。
 
精米を水に浸す時間は一定ではありません。
水が 米粒の外側から
中心部の「心白」
(杜氏蔵人言葉で「目んたま」と言われます)
と呼ばれる デンプン質の多い部分へ浸透すると
米粒が文字通り「透き通って」きます。
 
米の搗(つ)き方
その日の天候、気温、湿度
水温などのさまざまな条件によって
浸漬に必要な時間は精緻に異なってきます。
精米にどれだけ水を吸わせるかにより
出来上がってくるお酒の味が違ってきます。
お米の品種や
目指すお酒の味、酒質によっても
浸漬時間も数分から数時間と幅広くなります。
精米歩合が高いお米ほど
浸漬時間の違いが大きく結果を左右しますので
高級日本酒の場合
ストップウォッチを使って
秒単位で厳密に浸漬時間を管理しています。
お米は水から上げた後も
しばらくは吸水し続けていますので
その時間も計算に入れて
浸漬時間は判断されています。
浸漬工程が終了したら
浸漬タンクから水を抜き取る「水切り」を行って
次の工程の「蒸米」に移ります。
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