日本酒の雑学 ・酵母のチカラ

2019.08.08

お酒は

酵素
酵母の3つの働きで作られます。
1. 麹が酵素(糖化酵素)を生産。
2. 酵素が米のデンプンをブドウ糖に変える
3.ブドウ糖を酵母が食べて
アルコール(と炭酸ガス)を生産。
 
麹を作るのに欠かせない麹菌は
コウジカビと呼ばれているもので
アスペルギルス属というカビの一種です。
デンプンの糖化に秀でています。
日本の環境でしか育ちません。
そして味噌や醤油、酒など
日本の伝統食品の発酵・醸造には
なくてはならないものです。
麹菌(アスペルギルス・オリゼー )は
2006年10月12日
日本醸造学会により
「国菌」に認定されています。
 
酵母菌はイーストとも呼ばれている菌です。
酵母は
デンプンが酵素で分解されて出来たブドウ糖を
分解してアルコールや炭酸ガスを生じさせます。
特に日本酒造りの際に用いられる酵母を
「清酒酵母」と呼びます。
 
酵母は
「アルコール発酵」と
「香りの素」という
2つの働きをします。
 
・アルコール発酵
酵母が生きるための餌となるのが
「糖分」です。
お米に含まれる「糖分」を餌にして
酵母は成長と分裂を繰り返していきます。
その時に発生するのが
「アルコール」。
逆に言うと
お酒にアルコールを発生させるため
「酵母」の力を必要とするということです。
 
・「香りの素」
酵母が糖分を食べてアルコールを発生させるとき
アルコールの他に
炭酸ガスも発生します。
酵母の働きで発生したアルコールと
炭酸ガスに含まれる主成分には
「カプロン酸エチル」
「酢酸イソアミル」というものがあります。
この成分は
リンゴやメロン、バナナなどの
果物の香り成分に含まれているものです。
お酒の香りを
「フルーティ」な香りと表現する理由は
この成分によるところが大きいのです。
 
「清酒酵母」といっても
多様な種類があります。
酵母の種類によっては
出来上がる日本酒の味わいや香りにも変化がでます。
代表的な清酒酵母としては
「きょうかい酵母」と
「蔵つき酵母」があります。
 
「きょうかい酵母」とは
「日本醸造協会」が
各酒蔵に頒布している清酒酵母です。
協会が頒布する酵母ということで
「きょうかい酵母」というわけです。
発酵力の高さや品質の良さに加えて
各酒蔵で酵母を培養する必要がないため
多くの酒蔵で採用されています。
 
「蔵つき酵母」とは
各酒蔵の建物や床、壁、樽などに
自生している酵母のことです。
「家つき酵母」とも呼ばれています。
「蔵つき酵母」のデメリットとして
この土着の酵母を
酒蔵が自ら培養しなければならないので
手間がかかり
年によって、または樽によっても
味が安定しないということがあります。
かつては主流だったのですが
きょうかい酵母の普及とともに
徐々に採用する酒蔵が減っている現状もあります。
しかし
「蔵つき酵母」はその酒蔵だけの酵母ですから
きょうかい酵母にはない
その酒蔵独自の味や香りを生み出せます。
蔵つき酵母とは別なものには
酒造会社が独自で開発した酵母
「自社酵母」を使っている酒造・銘柄もあります。
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