日本酒の雑学 ・「大酒飲み」呼び名ランクとあれこれ

2019.07.24

「大酒飲み」の呼び名には
一応、ランクらしきものがあります。
そのランクは
蠎(ウワバミ) ⇒
ザル ⇒
輪、または、枠(ワク)
の順で強さが上がっていきます。 
 
蠎(ウワバミ)
ウワバミ、とは蛇の呼び名の総称で
大きな蛇のことを指します。
蛇が獲物を丸呑みするように
お酒をがぶがぶと
飲む様から来たようですが
日本神話に出てくる
ヤマタノオロチが
「八塩折(やしおり)の酒」を飲んで
酔っ払って成敗された物語から
「大酒飲み」を指すようになった
とする説もあります。
 
ザル
ぐびぐびとお酒を流しこむように飲む様子が
まるでザルに水を注ぐように
水が「抜けていく」ような様から
生まれた言葉といわれます。
お酒がとどまらない
「底が無い」という意味合いでも言われます。
 
輪、または、枠(ワク)
輪、または、枠(ワク)は
「そもそも(お酒が)引っかかる場所もない」
ということで
ザルを越えた大酒飲みのことを表します。
どれだけお酒を飲んでも
平気な素面にしか見えないくらいの
お酒に強い人を言う言葉です。 
 
さて このほかにも
「大酒飲み」を表す言葉があります。
 
ドロンケン
明治時代に生まれた和製洋語です。
「お酒を飲む人」の意味の英語「drinker」が
オランダなまりによって
「ドロンケン」と発音されていたものが
広く流布したものといわれます。
横浜のあたりが発祥とされています。
当時は横浜にオランダ大使館があり
日蘭交流が盛んだったことから来ているようです。
 
猩々(しょうじょう)
猩々(しょうじょう)とは
中国の伝説上の動物のことで
それを題材とした能楽などの演目があります。
そこから転じての
「大酒飲み」や「赤いもの」を
指す様になりました。
猩々は人語を解し
姿に関しては毛も含めて
全身が「赤い」人型の幻獣として
描かれることが多く
お酒好きとされています。 
能の演目では
真っ赤な装束に身をまとった猩々が
お酒を飲みながら踊ります。
それがお酒を飲んで顔が真っ赤な
酔っぱらいのようにも見えたので
「大酒飲み」を指すようにもなった
ということです。
 
瓢箪枕(ひょうたんまくら)
お酒の入った瓢箪(ひょうたん)を
枕にして寝てしまうというくらいの
お酒好き、という意味で使われます。
 
食べ印
江戸の言葉で
「お酒飲み」を指します。
当時はお酒を飲むことを
「お酒を食べる」とも言ったそうです。
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