「四季醸造(しきじょうぞう)」という
年間を通しての酒造りのやり方があります。
日本酒の多くは
秋に収穫されたお米を使い
冬から春先にかけて仕込まれます。
では、なぜ日本酒は
冬を中心に造られるか、ですが
理由の一番は
「外気温」にあります。
温度管理の都合では
寒い季節の方が
温度をコントロールしやすいのです。
外気温が暖かいと
雑菌が繁殖しやすくなったり
醸造中の醪(もろみ)は
熱を発してしまいます。
「四季醸造」が可能になったのは
蔵内の室温をコントロールできる
空調設備が良くなったからです。
外気温に影響されない
低温での温度管理が出来るようになったので
冬の寒い時期と同じような環境で
酒米の管理、酒造りが可能になりました。
しかし
空調設備での
低温での温度管理だけで
すべてがコントロールできるわけではありません。
暖かい時節は
外気が寒い冬場と違い
微生物が繁殖しやすい時期なので
特に洗米や浸漬の作業では
今までにも
さまざまな試行錯誤が
繰り返されてきていました。
仕込みに使う井戸水の温度は
年間を通してほぼ一定なのですが
お米の温度が冬場に比べて高いため
菌の繁殖率が格段に高くなります。
ですから
米を水に漬け置く浸漬(しんせき)の時間や
蒸す時間を細かく調整する必要が生じてきます。
年間を通して製造が行える
「四季醸造」のメリットとして
考えられることは
市場の需要に合わせての
醸造量の変更に対応できる
小仕込みができること。
そして
四季醸造の場合
冬場にしか酒造りを行わない蔵と比べ
毎日酒造りが行われることで
普通の蔵元が1年間に仕込む回数が
数ヶ月でその回数を行えるということです。
結果
蔵人のスキルアップが早くなります。
品質も
通年で高品位レベルを保つ事が
できるようになるということです。
四季醸造とは
もともとは
各季節ごとに合わせた酒造りのことで
江戸時代初期まで
真夏の盛りを除いて
一年を通じて以下のように呼ばれていました。
新酒(しんしゅ)
旧暦8月(新暦で9月ごろ)に
前年に収穫した古米で造る。
間酒(あいしゅ)
初秋に造るお酒。
今の9月下旬。
寒前酒(かんまえさけ)
晩秋に造るお酒。
寒酒(かんしゅ)
冬場に造るお酒。
主流の「寒造り」として残っていく。
春酒(はるざけ)
春先に造るお酒。
浸漬(しんせき)の時間は
日を追って短くなるよう調節。
蒸米は発酵が進みすぎないよう
気をつけられました。