日本酒の雑学 ・酒造好適米のルーツ雄町米

2018.12.11

「雄町米」を使ったお酒を愛する
「オマチスト」が
全国で増えています。
 
「雄町米」は現在
山田錦や五百万石など
他の酒造好適米のルーツとされ
日本最古で唯一の
混血の無い原生種となります。
 
長稈で倒れやすく、晩成種
病害虫に弱く、収量が少なく
「幻の酒米」と言われています。
今、その全国の栽培量の9割は
岡山県産です。
 
岡山の美作は
“うまさか”
の訛りからできたものだと
奈良時代の書物
「播磨風土記」にあり
それは“うまい酒のできる国”
という意味だという記述です。
 
さほどに昔から
岡山は美酒を醸してきた地域です。
(醸す:麹 (こうじ) を発酵させて
酒・醤油などをつくること。)
 
9~11世紀頃は、すでに
「米を持って名を得た国」として
備前、備中、美作が知られ
18世紀初頭には
「備前米」は大阪諸蔵米の中で
名声を得ていました。
 
その酒米産地としての
岡山県の名声を
確固たる存在にしたものが
「雄町米」。
 
江戸時代の末
安政6年(1859年)
備前の国
上道郡高島村大字雄町
(現在の岡山市中区雄町)の
篤農家
(熱心で研究心に富んだ農業家)
岸本甚造 氏が
伯耆大山参拝の帰り道で
偶然見つけた
背の高い二本の稲穂を持ち帰り
選抜を続けて、慶應2年に
育成したと言われています。
 
「雄町米」で作ったお酒は
 
・ふくよかで円みのある旨み
・幅のある複雑な味わい
・深いコク、長い余韻
・米の甘みと酸味との調和
・熟成を経て開く旨み
・あらゆる料理と調和  
 
が特徴であると言います。
 
地元、岡山が生まれ故郷の
「雄町米」。
 
雄町米は
優秀な「酒造好適米」として
全国各地で交配種として使用され
山田錦や五百万石など
優良品種の親として
重宝されました。
 
現存する酒造好適米の
約2/3の品種は
雄町米の系統を引き継いでいます。
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