「吟醸香(ぎんじょうか)」には
果物のような香りがあります。
リンゴのようなさわやかな香り
これは
「カプロン酸エチル」
メロンやバナナのような甘い香り
これは
「酢酸イソアミル」という成分です。
果物と同じものですので
「フルーティー」な香りと称されるのです。
日本酒は
酵母が醗酵することで
アルコールが生成されます。
この「酵母」は
栄養がなく
温度が低いギリギリの環境に置かれると
通常のエチルアルコールとともに
「高級アルコール属」を発生さます。
この「高級アルコール属」が
「カプロン酸エチル」
「酢酸イソアミル」といった
吟醸香の元となります。
果物の香りの芳香化合物
エステル類の香気成分は
主に酵母の細胞内に作られます。
その香気成分は
酵母の細胞膜を通って
醪(もろみ)の中のアルコールに溶け出し
お酒の香りになります。
低温での時間をかけての発酵で
アルコールの揮発性が下がるため
「香り」の成分がとぶことなく
醪(もろみ)の中に残りやすくなります。
その結果
「吟醸香」が出てくるのです。
醸造アルコールを添加する大吟醸酒と
添加しない純米大吟醸で
精米歩合40%と同じ場合
醸造アルコールを添加した大吟醸酒のほうが
「吟醸香」が強くなる傾向があります。
醸造アルコールは「吟醸香」を
醪(もろみ)から
引き出す作用があると言われています。
醪(もろみ)にアルコールを添加することで
アルコールに酵母が溶けて
酵母の香りが
日本酒に移りやすくなります。
実は
本醸造や特別本醸造
吟醸、大吟醸では
使用できる醸造アルコールの量は
「白米重量の10%以下」に制限されています。
日本酒では
少量しか使用されていない
ということになります。
「吟醸香」が高くなるので
鑑評会に出品するような
高級な大吟醸酒などにも
醸造アルコールが使用されています。
純米大吟醸より大吟醸の方が
「香りが華や」と言われるのは
醸造アルコールあってのものと言えます。
最近は
吟醸香の発生しやすい酵母も造られていますので
精米歩合高めて
栄養を削る厳しい条件としなくとも
それらの酵母を使用することで
フルーティーな香りの日本酒が
造りやすくなっているということです。