「端午」とは
「端(はし)の午(うま)の日」という意味です。
月初めの午の日が「端午」。
そして、特に旧暦の5月は
「午の月」でもあります。
「午」が重なることから
「端午の節句」として
盛大に祝われるようになったと言われています。
最初は
5日ではありませんでした。
「午」と数字の「五」は同じ発音であるので
いつしか 5月5日を
「端午の節句」というようになったといわれています。
現在の5月は
旧暦では6月前半に相当しますから
梅雨の季節に入って来る時期です。
昔はこの時期
病気が流行りやすかったので
節句の「厄除け」や「健康への祈願」が
多く行われたと考えられます。
昔の貴族の間では
端午の節句を祝う習慣が
奈良時代からありました。
その当時は
子どものお祝いというより
菖蒲や薬草などで
厄除けや健康を祈願することが
主流であったようです。
元来は「薬草摘みの日」でもあったようです。
鎌倉時代で武士の世になってきますと
薬草としての菖蒲(しょうぶ)が
「尚武」の音に通じると
男の子の健康や成長を祈る
立身出世を願う行事へ転化しました。
菖蒲酒(菖蒲を浸して飲むお酒)
節句のときに飲むお酒は
そのときの生命をいただいて
「邪気を払う」という意味があります。
天平19年(奈良時代)
「聖武天皇(東大寺建立、慮舎那仏鋳造)
郡臣に菖蒲酒を賜うなり。」とあります。
このときの菖蒲酒とは
菖蒲の根をきざんでお酒に浸したものです。
漢方では「菖蒲根」といって
「芳香性健医薬」というものです。
根茎を刻んでお酒に漬け込むことで
より有効成分が溶け込み
体内に取りこみやすくなります。
お酒自体が「百薬の長」であり
そこにさらに菖蒲の薬効成分が溶け込むので
厄除けと健康の効果があると信じられました。
ですから
端午の節句になると
中国はもちろん
日本でも奈良時代から
貴族の宴席で飲まれてきました。
基本的には
菖蒲酒は香りを楽しむものなので
冷やすよりは「燗」にします。
徳利やお銚子の日本酒に
菖蒲の葉を入れて
人肌程度に温めていきながら
じっくりと香りを引き出します。
あまり熱くお燗してしまうと
「苦味」が出てしまうので
注意が必要です。