日本酒の雑学 ・デンプンを糖に変える麹菌

2019.02.14

「麹」とは米や麦や大豆などの穀物に
カビの一種の
「麹菌」を繁殖させたものです。
 
日本酒のほかでは
醤油
味噌などが
麹を原料として造られています。
ちなみに、一大ブームをおこした
「塩麹」は
塩と米麹と水で造られています。
 
日本酒造りで「麹」とは
「米麹」のことを指します。
 
日本酒は発酵食品ですので
発酵するために
麹が必要不可欠です。
 
ワインでは、極端な話し
潰した葡萄をそのままで放置しておくと
自然にアルコールが発生します。
ブドウがもつ糖が「発酵」して
アルコールになるのですが
日本酒の場合は
酒米を蒸して、そのまま
水と一緒にタンクに入れても
アルコールが発生することはありません。
 
アルコール発酵するためには
まず
米のデンプンを
「糖」に変える必要があります。
 
その
「デンプンを糖に変える」のが
「麹菌」です。
 
デンプンは
ブドウ糖が連なってできています。
アルコールにするには
まずその連なりを絶ち切って
ブドウ糖単体とする必要があります。
 
「麹菌」は
ブドウ糖とブドウ糖が連なっている
その部分を断ち切る働きをします。
この働きを「糖化」といいます。
そして、麹菌がデンプンを「糖化」させた後
次に「酵母菌」が
その糖をアルコールに変化させ
日本酒ができあがるのです。
 
また、麹菌は
「タンパク質分解酵素」をもっています。
米のタンパク質を
アミノ酸に変化させる役割もあります。
そうしてできたアミノ酸は
日本酒のコクや旨味を生み出しています。
 
麹菌を米に付着させて
米の中で麹菌を繁殖させる麹造りを
「製麹(せいきく)」と言います。
 
製麹
麹菌の繁殖には
適切な温度管理が最も重要です。
麹菌の繁殖適応温度は
30度~40度といわれています。
15度以下では働かなくなり
50度を超えると死滅してしまうのです。
 
麹菌は生きています。
呼吸をしながら繁殖していきます。
その呼吸の際に
熱と炭酸ガスを発生します。
ですから
放っておくと
温度が上がり続けることになり
ついには死滅してしまうのです。
 
炭酸ガスを発生しますので
空気を入れ替えないと酸素不足になり
呼吸できなくなり
繁殖できなくなってしまいます。

ですから、製麹は
保温・換気・適切な湿度管理ができる部屋で
行われる必要があるのです。
 
この製麹の期間では
蒸米を混ぜ込んで保温(床もみ)
ほぐして放熱(切り返し)
再び混ぜ込み保温
麹菌の繁殖で温度が上がったら
また放熱
という作業を繰り返していきます。
製麹に要する時間は 二昼夜(約48時間)。
この間
常に繁殖適応温度をキープするよう
注意が必要なのです。
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