日本酒の雑学 ・日本酒の誤解 「三増酒」?  三増酒の日本酒(清酒)はもう存在しません。

2019.02.07

「三増酒」
正式名称は「三倍増醸清酒」。
これは、太平洋戦争前後の米不足の時代
醸造した日本酒に
さらに 2倍の醸造アルコールを足して
3倍の量の酒を造ることから
そう名付けられた ということです。
 
戦時中に仕方なく造られたお酒ですが
戦後は
醸造アルコールを大量に加え
薄くてまずいお酒を
お金儲けのために売るという
過去の日本酒業界としては
負の側面がありました。
 
醸造アルコールを大量に足すと薄くなるので
甘みを補うために
糖類や酸味料を添加したりもしており
これがいわゆる
「べたべたした甘いお酒」という
「ポン酒」と呼ばれ
初めて飲んだ人に
「日本酒」とは
まずく、悪酔いするという
「日本酒」の悪いイメージを浸透させました。

悪いイメージになるのは当たり前。

そこから、日本酒を敬遠したり
日本酒でも醸造アルコールが入ったお酒はダメという
発想になっていったと思われます。
 
現在は2006年に制定された酒税法で
三増酒は「清酒」として認められず
リキュール類や雑酒に分類されるため
三増酒の「日本酒(清酒)」はもう存在しません。
 
中には
糖類が添加された普通酒もありますが
酒税法の規定の範囲内で
醸造アルコールの添加を含め
想像するよりも
はるかに少量しか使用されていません。
 
ネット上では
まだまだ三増酒についての古い情報や
あのお酒(清酒)が三増酒だと決めつけたような
誤解によって書かれた情報も多く
それを信じてしまう状況もあります。
 
現在の酒税法
「日本酒」というカテゴリーには
三増酒は存在しません。

日本酒は
ビールやチューハイなどと比べると
アルコール度数が15度~18度と高く
飲み口が良いので
つい飲み過ぎてしまう傾向があります。
「日本酒」を飲んで二日酔いや悪酔いになるのは
単純に「飲み過ぎ」が
主な原因ではないかと考えられます。
 
尚、合成清酒と呼ばれる商品が
販売されています。
合成清酒は
合成したもので
日本酒(清酒)とは全く別の物です。
合成清酒とは
アルコールに糖類などを加えて
日本酒風に仕上げたアルコール飲料で
米を一切使用していない商品もあります。
合成清酒は
料理酒として販売されることが多い商品です。
米の利用が可能となってからは
清酒醸造とまったく同じ方法でつくった香味液を
合成清酒の量の約8%程度
(白米として5%相当)加えて調味します。
ですから、いまでは
当初用いられていた
お米を使わない純合成法での合成清酒は無くなり
お米を一定限度内で使う製造法によるものが
一般的となっています。
 
日本酒(清酒)
三増酒
(米の酒の割合が少ない)合成酒とでは
明らかに別種のお酒として区別されています。
すべてをまとめて
「日本酒」として
認識してしまっていることで
「日本酒」のイメージが
悪くなっている
ひとつの側面ではないかと考えます。
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