日本酒の雑学 ・日本酒の「搾り(しぼり)」

2019.01.08

酒税法では
醪(もろみ)を「搾って」
酒粕を取り除いたものが
日本酒  と
定義されています。
 
醪(もろみ)とは
酒母(しゅぼ)
(※酵母(糖分をアルコールや
二酸化炭素 等に
分解(発酵)する菌の一種)を
大量に培養したもの)
麹(こうじ)
蒸米(むしまい)
仕込み水 とを
混ぜた状態のものです。
 
この醪(もろみ)の中で
酵母が
アルコール発酵を行い
日本酒が出来ていきます。
 
「搾り(しぼり)」とは
この醪(もろみ)の状態から
液体の部分を
文字通り
「搾り出す」作業のことです。
この液体が「酒」で
残った固形物は
「酒粕」となります。
 
日本酒は基本的に
全てこの搾りの工程を行っています。
 
代表的な日本酒の搾り方 三種
 
・自動圧搾ろ過機
(じどうあっさくろかき)
通称「ヤブタ式」。
機械の力で
醪(もろみ)を搾るやり方です。
蛇腹(じゃばら)状の圧搾機の中に
醪を流し込み
両側から圧力を加えて
酒を搾り出します。
最も一般的で
搾り終わるまでの時間が早いことから
お酒の酸化を防ぎ
しっかりと搾れるのが利点です。
ただし 圧力が強いので
大吟醸などの
繊細なお酒を搾るのには
向いてはいません。
 
・槽搾り(ふねしぼり・ふなしぼり)
昔から伝わる日本酒の搾り方。
酒袋と呼ばれる
縦50cm
横20cmくらいの布袋に
醪(もろみ)を入れて
横にしながら重ね
上から圧力をかけて搾る
やり方です。
この醪(もろみ)を搾る道具が
舟の底に似ているということで
「槽搾り」 と
呼ばれるようになったそうです。
圧力をそんなにかけないで
優しく搾るという工程のため
手間はかかるのですが
雑味の出ない
日本酒本来の味わいが楽しめます。
この搾り方では
袋を重ねていく際に
酒が零れ(こぼれ)ないよう
気を使わなければなりません。
さらに
ヤブタ式と比べると
搾る時間が長いため、
お酒を酸化させないための
工夫が必要となり
高い技術が要求されます。
 
・袋吊り(ふくろづり)
通称、「雫しぼり」「雫取り」。
酒袋に醪(もろみ)を詰めた後
その醪をタンクの中に吊るして
重力のみの作用で
自然にしたたり落ちてくる
「雫」の部分だけを
採取するやり方です。
自然の重力以外の圧力が
一切かかっていない方法です。
この搾り方では
お酒としての
必要な成分だけ抽出され
雑味などは一切出てきません。
クリアで繊細な味わいになります。
この搾り方でできたお酒は
あまり量が取れないのが難点で
今では鑑評会出品酒として造られ
市販されることはあまり無いようです
 
そして
伝統的な「槽搾り」や「袋吊り」で
搾られ出てくるお酒の状態には
順序と特徴があり
それぞれ名前がつけられています。
 
・あらばしり
最初に出てくるお酒。
薄く濁っていて
これを「あらばしり」といいます。
香りが華やかで
フレッシュ感のある味わいが
楽しめます。
 
・中取り/中汲み
「あらばしり」が出おわりますと
透明なお酒が出始めます。
この透明な部分が「中取り」。
香味のバランスがよく
鑑評会出品酒は
この「中取り」の部分だけを取り出し
出品されます。
 
・責め
「中取り」が出おわると
今度は圧力をかけて
お酒を絞り出します。
これを
「責め」といいます。
そうして出てくるお酒も
「責め」と呼ばれます。
雑味が多くなります。
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