“軍神”上杉謙信は
日本酒が大好きなことでも有名で
梅干しや味噌を
つまみにしたと言われます。
謙信の死因には諸説ありますが
お酒好きの
過度なアルコールの摂取と
梅干しや味噌からの
塩分の取りすぎによる
高血圧から脳の血管障害を起こした
という説が有力とされています。
日本酒のおつまみには
塩分の効いた「梅干し」に限らず
塩味のものがよく合います。
味覚で「おいしい」と感じるのは
甘味・酸味・苦味・塩味・旨味の
“五味”のバランスに関係します。
梅干しの「塩味」は
日本酒の味にはないもの。
一緒に食べることで
口の中の味のバランスを整えてくれるので
美味しさを感じるのです。
また、効果として
スイカに塩を振ったり
お汁粉に少量の塩を入れると
甘く感じるのと同じで
梅干しの「塩味」が
日本酒の「甘味」を
引き立ててくれるということもあります。
昔からある日本酒の飲み方で
日本酒の熱燗に梅干しを入れると
ほどよい「塩味」と「酸味」が
日本酒に溶け出て
まるで梅風味の出汁のような
おいしさが味わえると言います。
加えて梅干しに含まれる「クエン酸」で
体力回復や
肝臓への負担軽減の効果が期待できる
と言われていています。
室町時代末期に考案されたと言われる
江戸時代の調味料に
「煎り酒(いりざけ)」があります。
日本酒に
梅干し、鰹節、昆布を入れて
煮詰めて作ります。
日本酒の
甘味・旨味が凝縮されたところに
梅干しの塩味・酸味
鰹節、昆布の出汁の旨味成分が加わった味で
白身魚の刺身やおひたし
酢の物の味つけに好まれました。
江戸時代中期までは
醤油よりも一般的だったのですが
醤油にくらべて味が薄く
また、保存も利かないことから
醤油の普及とともに
廃れてしまいました。
「梅干し」は
梅の実を塩漬けして
天日干ししたあと
シソの葉と梅酢につけたもの。
「調味梅干し」は
梅干しを
ハチミツや黒糖、昆布、鰹などで味つけし
塩分を低くおさえ
その分、旨味成分が多く含まれます。
塩味の「梅干し」には
甘口で濃醇な味わいの日本酒で。
「調味梅干し」には
やや酸味を感じる日本酒でいかがでしょうか。