乾杯の起源は
古代ヨーロッパで
「神様や死者のために神酒を飲んだ」
という宗教的な儀式からといわれます。
中世になると
諸説ありますが
「お酒には悪魔が宿っていて
そのまま飲むと悪魔に取りつかれる」
と信じられていたことから
「悪魔を追い払う」という意味で
グラスを合わせて
大きな音を立てるようになりました。
また、当時
お酒の席での毒殺が横行していたことから
グラスを当てる衝撃で
中身が飛んで互いのグラスに入ったものを
互いに飲むことで
毒が入っていないことを証明する
という意味もあったそうです。
日本では
中国に「乾杯」という言葉があるので
そこから取ったといわれます。
中国では
文字通り「杯を乾かす」。
全部一気に飲み干すところまでやります。
日本で「乾杯」の習慣が生まれた
そのきっかけとなった出来事は
江戸時代末期、幕末の頃
安政元年(1854年)。
日本はイギリスとの間に
「日栄和親条約」という
不平等条約を締結しました。
その後イギリスは
エルギン伯を日本に送り
当時の日本の外交における
事務方のスペシャリストである
井上清直という人物を通して
条約の捕捉交渉をしました。
交渉終了後の晩餐会での席上で
エルギン伯が
「イギリスでは国王の健康を祝して
杯を交わす習慣がある」と紹介。
井上清直は戸惑いながらも
それを了承
場が静かになったところに
井上清直は突然立ち上がって
大きな声で「乾杯!」と叫んだ
と言うことです。
井上清直は
中国にある「乾杯」という慣習を
知っていたからこそ
その場で機転を利かすことが出来た
ということです。
乾杯のマナーとしては
飲まない(飲めない)時でも
グラスにお酒を入れて乾杯します。
水を入れたグラスでの乾杯は
水杯(みずさかづき)
となってしまいます。
水杯というのは
二度と会えないかもしれない
「別れ」のときに
別れの場で
お互いの杯に水を入れ
水を飲み交わすものです。
水で乾杯することは
相手の方に対して
とても失礼な行為であることが
わかります。