日本酒の雑学 ・婚姻の盃事(さかずきごと)

2019.09.26

一般的な概念ですが
昔の婚姻はお見合いからでした。
(今ももちろんあります。)
このお見合いからも
「盃事」が行われました。
※盃事(さかずきごと)
盃を交わすことで約束事を固めるもの。
祝事や儀式の時に
ひとつの盃を大勢で回して飲む事で
お互いの関係を深めるという意味もある。
 
本人や双方の親御さんが
「配偶者」として迎えても良いと
判断してから「お見合い」を行いました。
その後話が進み、決まりますと
なるべく早い吉日で
手締めの酒を交わすという
「決め酒」という婚約成立の儀式がありました。
「決め酒」には仲人さんが立ち会われました。
 
手締めの酒の呼び方は
「決め酒」の他に全国的に多くあって
「固めの酒」
「口合わせの酒」
「決まり酒」
「定め酒」
「釘(くぎ)酒」
「根切り酒」
「手打ち酒」などと呼ばれていました。
 
そして 花嫁さんが
育った家をいよいよ後にする時に
「再び家に戻らないように」と
愛用していたお茶碗やお皿を割り
その後
「お立ち酒」という盃事をするところも
多くあったようです。

そして新郎となる方の家に入る時に
台所口から入ったり
お尻を皆から軽くたたかれたりして
その後
「門盃」
「敷居の盃」と言われる
盃事が行われたと言うことです。
 
さて 花嫁さんが新郎となる方の家に入ってからの
盃事の中心となるのが
新郎と花嫁さんの「夫婦盃」と
新郎のご両親と花嫁さんとの
「親子盃」といった
「固めの盃」です。 
「三」を吉数として
「三」を重ねた おめでたい縁起で
三つの組の重ね盃で
三度ずつ 三回盃を献酬(けんしゅう)しました。
(※酒盃をやりとりすること)
つまり「三々九度献」です。

そして 披露宴に移る前に
参列者一同へ
盃が右回りに回されて
次に その盃で 
新郎のご両親と花嫁さんとの間で
「親子名乗りの盃」が執り行われてから
いよいよ披露宴の開始となりました。

その後
夜を徹しての祝宴がとなるのですが
その祝宴が終わって
お客さんが帰る際にも
退出する花嫁さん側の同行者の人達には
別れの間際に汲みかわすお酒として
「草鞋酒(わらじざけ)」と称した
大きな盃で二杯以上のお酒を飲ませたりしました。
ページトップへ